成長のチャンス
先日からスペインに入ってます。
すごい環境で子ども達だけでは無く、僕ら指導者も物凄く刺激を受けて学ばせてもらってます。
日本とは全く違う環境に最初は戸惑う選手達。
ファッションや世界的に見たら美食の国として知られている日本での「衣」「食」や、何一つ不便を感じることの無い「住」。
そんな恵まれた国を離れて、サッカーの国へ。
お腹の調子が悪くなる選手、頭が痛くなる選手、サッカーで激しいファールを喰らい、身体を痛める選手。
様々な変化が身体に現れるのは、身体や体調が現地での環境に対応しようとしている証拠。
おもてなしの国であり、人情の国、日本では、何か困れば誰かが助けてくれる。
海外って何か困ったら、自分から発信しないと誰も助けてくれない。
子ども達はサッカーだけではなく、様々な事をこのスペイン生活の中で感じて、吸収してくれてます。
日本と海外を行き来をして感じるのは、保護者やコーチの選手達に対する扱い方がすごく違うのを感じる。
変な話、日本では、翌日に自分のサッカーの試合があります。
そのサッカーの試合に行く準備を、選手である子ども自らがちゃんとやってますか?
たぶん、親が「明日の準備をしなさい!」と促されてから動き出したり、最悪の場合は親が準備をやってしまう事など、よく話を聞きます。
もちろん、みんながみんなではありませんが、海外の選手達の中でも、上手な選手達は週末の試合を楽しみにしていて、数日前からリュックにサッカー用具を詰め込んでいたりします。
自分から考えて、それに必要な事を自分で選んで実行する。
小さい頃からの生活が、人としても、サッカー選手としても成長させています。
他の日本チームは分かりませんが、僕たちが海外に連れてくる選手達には全て自分達でやらせます。
全てです。
どんな事をしてるかは秘密ですが、大人が出るのは最終手段だと。
手助けしたくなる気持ちはあるが、どんなミッションも自分達でクリアする。
助けないことで、嫌でも自分たちで考え、自分たちで行動を起こしてくれる。
選手達に家庭での話なども聞いたりしますが、最近は甘えん坊の選手が非常に多いのを感じる。
自分で出来ないとわかれば、すぐ親や周りの大人、仲間に頼り、他の人にやってもらう。
自分でなんとかしてみようとする子が減りましたね。
そして、親も過保護まではいかないが、子どもを干渉をしすぎて、選手がストレスを感じている相談も選手(子ども側)から受けたこともあります。
良かれと思って、保護者や僕たち指導者のやっている言動が、実は子ども達の成長の妨げになっている場合もある。
海外に来て、街での家族構成や、スタジアム内でのスタンドにいる海外選手達の保護者などの、振る舞いを見ていると、ちゃんと子ども達を自分の子どもであり、いち「タレント」として扱っているのを見る。
子ども達は体は小さいが、ひとりの人間として人格があり、いい意味で、日本の私たちが思っているほど子ども達を心配をしなくても良いのだと思います。
逆に最近では、親が子離れを出来ないパターンの方が多いですね。
最後に、ある方の名言。
“The greatest glory in living lies not in never falling,
but in rising every time we fall”
「生きるうえで、最も偉大な栄光は、決して転ばないことにあるのではない。転ぶたびに起き上がり続けることにある」
日本人は、そもそも転ばない様にする事を先に考える。
転んだ後に人は、成長するチャンスがある。
可愛い子には旅させろというが、僕はまさにだと思う。
確かにこうやって海外に来たりして、「旅」をする子ども達は増えたのかもしれない。
しかし、海外遠征はもちろん、様々な事に関して、成長のチャンスを奪っているのは、実は一番身近にいる人達なのかもしれない。